(Ameba(アメブロ)2009年10月1日投稿より)
最近、保釈却下の後、被告人の希望もあり、私自身も裁量保釈はなんとかしてもいいじゃないのと思える審理の状況でしたので、抗告してみました(第1回公判の後は、保釈に対する不服申立は準抗告ではなく抗告となります。)
抗告審の高裁裁判官と面談し、拙い状況説明をさせて頂き、とてもきっちりと聞いていただけました。
結果は、あえなく抗告棄却でしたが、改めて保釈をするなら準抗告(抗告)までやりきってなんぼ、と思いました。
というのは、保釈の却下決定というのは理由が付されていないため、なぜ保釈が認められなかったのかが全くわからないからです。それゆえ、保釈却下でおいておくと、保釈が通る閾値というか、どういう点がクリアになったり満たされたりしたら、裁判所は保釈を許すんだというラインなり枠組みが体感できないのです。
その点、準抗告(抗告)には理由をきちんと書いてもらえますので、なぜ認められなかったのか、あるいはどういう点を押さえたら保釈が通りそうか、といったポイントがわかるのです。これはその事件にとっても有用ですし、弁護士としても財産になります。私が今までに読んだ高裁の決定は、「さすが高裁!」と思わせる説得性に満ちたものばかりです。一度、共犯者間で対立が激しいケースゆえ共犯者間で口裏合わせの危険性はないと指摘したら、「双方に有利な事実を口裏合わせするおそれはある」という、一本取られた!という理由を頂いたことがあります。
このように高裁の決定に触れることは非常に実務レベルアップにつながります。
ですから、保釈をやるなら準抗告(抗告)までやる。
これは立派な弁護士HACKにあたるな、と思っております。